暗く光の当たらない部分 ~留学の闇~





これは友人の大学であった話。

その友人とは特別仲が良く、お互い海外大学出身ということで、よく話す。


ある時、少し重たい話をしてくれた。それを皆さんに紹介したいと思い、友人に記事を書いて貰うことにした。


(自然な表現にするため、一度私が文章・表現を書き直しています。)









私は、大学は海外の大学に行くと決めて、高校から様々な準備をしてきた。

英語の勉強もそうだし、部活も頑張った。部活での実績も海外の難関校には必要だと知っていたからだ。

結果、そこそこ有名な大学に合格を貰うことができた。

私は入学当初は、慣れなかった大学生活だが、徐々に現地の生活にも溶け込み、友達が増え、満足した生活を送っていた。


勿論、現地の日本人の先輩に支えられながら、履修登録や授業をこなすことが出来た。時には、同じクラスで宿題を一緒にやったり、先輩が取っていたクラスのテスト対策も教えてくれた。

先輩達には感謝している。彼らは優秀だったので、凄く良い企業から内定を貰ってたし、今も活躍していることだろう。


先輩たちは優秀であったが、私が2年生の時に、新しい学生が入学してきた。


毎年一定数は数名の日本人の学生が入学してくるのだ。
実質的な私の後輩だ。

数名の日本人は毎年、色んな性格を持っている。
基本的には入学してくる人は、優秀で、出身が異なるのである。なので、様々な大学やバックグラウンドを持った人が集まる。

しかしその年には、珍しく同じコミュニティーカレッ(短大)から3人も纏めて入学してきた。

アメリカの4年制大学では、1年目から入学しなくても、他の大学から編入することは、広く一般的である。







男性2人、女性1人だった。


それぞれ、男性がトーマス、ウイー。女性が、チャコとしよう。(名前は適当、日本人。)

この大学には珍しく、全員見た目がチャラかった。


・トーマスは機関車トーマスに顔が似ていた。
・ウイーは、葉っぱが好きだった。
・チャコは茶髪でギャル系だった。







同じコミュニティ・カレッジから日本人が3人も入学するのは凄く珍しいことだったし、偶然なのか、今年は日本人の応募者が少なく、採用オフィスが恣意的に採用したのかはわからない。



彼らと私は学部も全く異なっていたし、住んでる寮が異なり、直接関わることは少なかった。


関わるといえば、日本人イベントの集まりの時だけだった。


新しい日本人が大学に入ったというのは、事前に風の噂で聞いていた。直接会ったのも、日本人コミュニティが提供するイベントの時だった。






ある時、日本人が集まり、BBQをすることになった。
年上の先輩が、企画し、日本人学生が、車で1時間ぐらいの公園にあつまることになったのだ。


勿論ここは、海外なので日本みたく、全員参加必須ではなく、行きたい人が参加するBBQなのだ。


参加するのは全員ではなく、ほんの一握りというのが、アメリカらしい。
結局、私を含めて男7人ぐらいでBBQをすることになったのだ。

BBQでは、肉を焼いて食べて、大学生にもなって、缶けりをして遊んだ



一通り遊び終えたところで、誰かが話し始めた。

先輩A「そう言えば、リョウタは、今回何か用事があって来れなかったの?」

先輩B「いや、それがさ。。。。」コソコソ

先輩A「あ~。そっか~。」



二人が話しているのに気づいたトーマスは二人に、話しかけた。





トーマス「うん?どうしたんすかww?」

先輩A「いや、お前は知らない方が良いかもしれないよ。」

トーマス「いやいやそんな隠さないでくださいよ!ww」

先輩A「う~ん。。。。」

トーマス「リョウタが来なかった理由ですか?ww」 「あいつ風邪ですか?ww」






先輩A「いやあいつは、トーマス、お前を理由に今回来なかったんだよ。」

トーマス「えっ?w」「。。。。。。。。。。。」







先輩A「いやあいつは、トーマス、お前を理由に今回来なかったんだよ。」

トーマス「えっ?w」「。。。。。。。。。。。」

凍りつく周囲。

一瞬、他の話をしていた人も、話を辞めた。

異変に気づいたのだ。

トーマスの表情が固くなっていった。

真顔になったのだ。

トーマス「どういうことすっか?」

先輩C「どういうこと?何を話してるの?w」

先輩Aは何も言わずに、トーマスを連れて、少し離れた場所に移動した。

皆に聞かれないように、何かを話している。




残された人たちは微妙な空気を感じ取っていた。

既に、昼に始めたBBQだったが、辺りは暗くなろうとしている。

夏であったので、そこまでの寒さはなかった。

先輩C「何があったん? 深刻な話?」

先輩B「実はさ。」

と言い始めると、先輩Bは皆に何があったか、語り始めた。




今回新しく大学に入ってきたトーマス含む3人。

彼と同じ短期大学で、そこそこ優秀なリョウタというヤツがいた。リョウタは1年早く、こちらの大学に入学していた。

リョウタには、前の短期大学で彼女がいた。
その彼女が今回入学してきた3人の内のチャコであった。

リョウタとチャコは、元々付き合ってたが、前の短期大学を、1年、先に卒業するということで別れることになったのだ。



そして、前の大学で別れたチャコは、トーマスと付き合い始めた。

チャコの元彼が、リョウタで、今彼がトーマスなのだ。



そう彼らは穴兄弟だったのだ。

なので、リョウタは、今彼のトーマスと会うことを嫌い今回のBBQに来なかった。

トーマスと先輩が話終わって、戻ってきた。

そして、暗くなった公園から車に載って帰ることにした。
森に囲まれた広い公園。

私達日本人しかいない。

車の中では、トーマスはずっと切れていた。




トーマス「はあああ」

トーマス「まじか、クソがっ」





私や他の人達には、今回のBBQは楽しかった思い出であった。

しかし、トーマスだけには違った。

リョウタがトーマスを理由にBBQや日本人会に来ないというのは、違う意味を持っていた。





彼にとって、それは事実上の宣戦布告を意味していた。

しかもこれが、今後周りの人にも飛び火し始めることになるとは、誰も気づいていなかった。










BBQが終わり、何事がない日々が過ぎていった。

多くの人は授業におわれながら、その課題や宿題の処理に勤しんだ。

アメリカの学生の多くは、大学の図書館で課題や、グループワークをする。

図書館にも、日本人が自然と集まり、日本人とすれ違ったりするのだ。

大学の図書館ですれ違う時は、知り合いであれば、お互いに会釈をしたり、挨拶をする。

しかし、トーマスとリョウタは仲が悪くなったために、お互いすれ違っても挨拶をせず、無視しあっていた。


他のイベント事も、お互いの出席を理由に参加しなかった。

関係はますます悪化していった。

他の人から見て明らかっだった。

大学のコミュニティから疎外感を感じていたトーマスは、同じ入学時期のウイーや彼女のチャコと絡むことが殆どになっていった。



トーマスは、徐々に、周りの人にリョウタの悪口を言うようになっていった。



トーマス「リョウタは、前の大学で友達がいなかった。ww」

トーマス「リョウタは、バスケが好きと言ってるけど、実際はめちゃくちゃ下手。ww」

トーマス「リョウタは、前の大学で彼女を作って、今の大学でも作ってる。ただのヤリチンだよwww」

トーマス「あいつは前の大学で、チャコを振ったんじゃなくて、振られたんだよ。」

トーマス「俺は、別にいい。ただ、チャコがいるだけで幸せだ。このまま、結婚するわww」





小さな日本人コミュニティは、トーマスの派閥と、リョウタの派閥、その他に別れる様になってきた。


この状態が続くと思われた矢先、あるとんでもない事件がコミュニティの中で起きてしまう。



この状態が続くと思われた矢先、あるとんでもない事件がコミュニティの中でおきてしまう。





それは、トーマスの今の恋人のチャコとのことだった。


トーマスとチャコの間に別れ話が、持ち上がったのだ。


チャコからしてみれば、前の大学でなんとなく付き合っていただけの存在だったのかもしれない。


今の大学に来てから、トーマスの彼氏というせいで、日本人のコミュニティで、チャコ自身は不遇の扱いを受けることが多かった。


トーマスから離れることにより、自身の扱いの改善をしようと思ったのかもしれない。









更に不幸なことに、トーマスの得意だった、サッカーであったが、足の怪我により、今までのサッカーができなくなったのだ。





スポーツ選手によくある話だ。


怪我や障害により、今までのスポーツができなくなった瞬間に女性に振られる話。




男性は自分自身に惚れてくれていると思ってしまう。もし何があっても、一生支えてくれる存在だと。

しかし、そういったタイプの女性は、恋人がスポーツをしている姿が好きで、活躍している姿が好きで、人気がなくなれば、興味がなくなるというやつだ。



これが決め手となり、二人は完全に分かれることになった。










一生の存在だと勘違いしていたトーマスは、チャコに振られて、たいそう悲しんだ。



人前でも、「チャコさえいれば俺は幸せだw」と連呼していた彼の姿は、もうどこにもなかった。





トーマスは他の日本人と一緒に暮らしているが、以前にまして、一人で大声で叫ぶことが多くなったというのが、一緒に住んでいる日本人が気づいた変化だった。




一方のチャコは元気だった。


自分を不遇な立場に追いやった要因である、トーマスと別れる事ができた。

更に、新しい彼氏を見つけることが出来たのだ。



チャコは、勉強を理由に、 トーマスと合う回数を減らして

代わりに、ウイーに会っていたのだ。


チャコの新しい彼氏は、ウイー。

3人で同じ大学から、来たので、3人は仲が良かったが、もはや関わることはなかった。

トーマスはウイーのことを自分の親友だと思っていた。


しかし、トーマスの大切な彼女と、トーマスの友だちであったはずの、ウイーが付き合ってしまった。


親友と思っていた人に彼女を寝取られたのだ。




ウイーは絶望に満ちあふれていた。

もうどうしようもなかった。



次第に学校に来ることも少なくなり、家に引きこもる様になった。

トーマスが人と関わるのは、一部のトーマス派の人だけとなった。















コミュニティはめちゃくちゃに掻き乱されていた。


一部の人は、面倒なことに関わるのを避けるため、コミュニティから出ていった。



チャコは相変わらず、新しい彼氏である、ウイーとの旅行などの写真をインスタグラム・Facebookに挙げて、幸せと、周りにトーマスと別れましたアピールをしていた。


トーマスは、自分が愛していた女が、凄く軽い女であると、インスタグラムを通じて痛感させられていた。


Facebookやインスタグラムの画像や、文章を見るたびに、トーマスは更に追い詰められていったのだろう。



私たち部外者は、関係のない平和な日々を送っていた。




ある時、急に、トーマスが、先輩Aに連絡をとってきたのだ。



普段から先輩Aは、トーマスとは関わらないが、相談に乗って欲しいということで呼び出される事になった。


先輩Aは、心配になって、トーマスと会うことにした。





先輩Aはトーマスの家に着くと、トーマスは自分の部屋に招き入れた。

壁には、彼の所属したサッカーチームの歴代のユニフォームが飾ってあり、サッカー少年であることを示していた。


彼のいい加減な性格とは裏腹に、部屋の中は大分、整理されていた。



トーマスはパソコンを見せながら話し始めた。


そこには彼のSpringセメスターの成績表が写っていた。





トーマス「前のセメスターの成績が悪くて、、、今回のセメスターは頑張ろうとしたんですけど、思うように勉強できないっていうか、、頭に入ってこなくて、、、」


成績表は綺麗に、CとDしか存在しなかった。



米国の大学では成績が一定以上を下回れば、退学しないといけない。




そう、トーマスは勉強が大の苦手であり、日本の大学に入れなかったので、アメリカに来たパターンの学生だった。



このパターンは、英語も大して話せず、米国の授業についていけず、帰国する羽目になるのが、定例だ。



現に彼はそうなっていた。





トーマスにとっての二回目のセメスターなので、このセメスターでよい成績をとらないと、退学は確定してしまう。



しかも、このセメスターのミッドタームの点数も取れてない。







A先輩がアドバイスできることはなかった。

とりあえず、このセメスターで勉強を懸命に頑張るようにアドバイスをした。



しかし今まで日本で、勉強をする習慣がない人にとってそれは、無理難題であった。


勉強をしたことがない。勉強の仕方もわからない。英語もわからない。

今までできなかったことは簡単にできるようにはならない。

A先輩から見て、彼は詰んでいた。





時間だけが経ち、彼のこの大学でのタイムリミットは近づいていた。


彼が巻き返すことは誰もができないと思っていた時に、コミュニティに新しい問題が発生した。





トーマスは結局、授業についていけず、大学を退学することになった。

大学を辞める時に、彼は、サッカーの推薦をもらったので、他の大学に編入することになったと、トーマスと仲の良い友人に言うように頼んだ。


だから、大学のコミュニティの人達は、その通りに信じ込んだ。



しかし、事実は違った。



足のケガが治ってないし、プロレベルにサッカーが上手くないのに、そのような編入ができるわけはない。


実際は、今の大学の授業がついていけなかったので、よりランクが低いアメリカの大学への編入であった。





更にトーマスはもう一つの問題を引き起こしていた。





それは、トーマスが新入生の日本人女子学生をレイプしたのだ。



ある時のパーティーの帰りに、酔った日本人学生をひっかけ、自分の部屋連れ込んだ。






部屋の鍵を閉めて、レイプをしようとしたときに、女子学生はよっぽど嫌だったらしく、激しく抵抗したのだ。



日本人女子学生は、命からがら逃げ、警察を呼ぶことに成功し、トーマスのアパートの周りにには、警察官が来た。




トーマスは、日本人女子学生が誘ってきて合意の上だった
と主張したが、それは認められなかった。


大学の側にも知れ渡り、大学からは、大学から出ていくようにと通告された。(元から、成績の関係上、大学には残れなかった。)



多くの日本人はそれを聞いたときに、たいして驚かなかった。もともとそのような性格の奴だったからだ。(その性格故に、一部の日本人には嫌われていた。)



その女子学生をあざ笑うかのように、トーマスは、犯罪歴がつかず、今も元気な姿をFACEBOOKに画像投稿している。今は日本で何事もなかったように働いている。




留学先にはいろいろな人がいる。極端な人もいる。


彼にとって、罪悪感というものがないのかもしれない。



本当に、人に迷惑をかけても気にしない人物がこの世にいるのだと、アメリカ留学をして気づかされた。





人間は性善説か、性悪説かという議論が存在するが、この経験を経て、それは、人に寄るというのが正しいであろう。



大学の先輩や日本人は、トーマスのことを勉強面や、生活面で、助けてあげようとしていたが、彼は堂々と、周りのひとを裏切った。


むやみに他人を信じないほうが良いというのを、周りの日本人は痛感した。