米国大学アイビーリーグ 寄付金の問題 





米国の特定のトップ大学群をアイビーリーグと呼ぶ。


このアイビーリーグは高い教育環境と充実したカリキュラムにより、米国・世界中から優秀な学生を集めている。



そのため、倍率は非常に高く、簡単に受かることはできない。



また、米国の授業料は非常に高いことで有名だ。


Harvardでは、授業料と寮代金込みで、高くて年間800万近くかかる。




基本的にはお金持ちの子息が多い。(米国大学は、入学前に支払い能力もチェックされる。)



そのお金持ち達が自分の子息の入学を有利にするために、寄付金を大量に払う。



基本的には最低額が100万円、500万円という大学が多い。もちろん上限はない。


日本では大学への寄付金を払うということは一般的ではないが、米国では当然のことと認識されている。







その大学への寄付金にまつわる話を紹介したい。









1)大量の寄付金


大学への寄付金は入学を有利にする。

そのため、高校3年生や卒業前になったら、親(卒業生)は子供が入学できるように、寄付金を支払う。もし入学が認められなければ、寄付金を払うのを辞めるし、入学が認められれば、寄付金を払い続ける親も少なくない。


寄付金の額は、高校入学前から上がり続け、入学が認められた1~2年目が寄付金のピークとなっている。



(alumni donations and children application status,2009)







例えば、寄付金 (累積) の金額は、


2017年ハーバード大学で約390億ドル。 (4兆円ぐらい)

2017年のプリンストン大学で約230億ドル (3兆1千億円ぐらい)


これだけの寄付金 を保有している。



年度にもよるが、年間で1000億円近い寄付金をもらっていることになる。




これがどのくらい多いかというと、そこらへんの企業の売り上げより圧倒的に多い。




2018年アマゾンのフリーキャッシュが、1兆9000億円である。
2018年トヨタのフリーキャッシュが、1兆7000億円である。


なので、一流企業のそれと比べても非常に多いことがわかる。









2)寄付金の使い道



寄付金の多くは、大学設備の拡張、教授の給料、奨学金などに使われると思うだろう。

しかし、学校関係に使われるのは寄付金の5%でしかない。






多くは、更に金額を増やすためだけに、非公開の投資に使われている。


例えば、不動産、ヘッジファンドへの投資、株、債券などだ。



大学財務のポートフォリオの幅を広げるのは、大学運営の安定につながる。

しかし、学生や教育に使われていない現実は好ましいのだろうか?




もちろん、収入が少ない学生の少額金の財源としても使われている。


だが、そもそもトップ大学に貧乏人の多くは入学する人はかなり少ないし、入学できるだけの学力もない。


大学寄付金の運用が不透明との批判もある。


非公開の投資が、好ましくない対象にも使われていたとして問題になった。


トップ大学の資金が、貧困国の農地の買収、石油開発、プエルトリコ債権、プライベート収容所などに使われ、間接的に環境破壊などの好ましくない投資につかわれていたのだ。










3)税金がほとんどかからない。



(私立大学を含む)大学は非営利団体であり、政府機関に分類されるため、税率が軽減される。



日本の宗教法人は税率優遇があるように、アメリカの大学にも、節税・減税などの税率優遇がある。




米国の大学は、一般人からの寄付金に対して、一般の税率よりも低い税金しかかからない。



しかし、高まる批判に、行政もこれを看過しようとしていない。


2017年にTax Cut and Jobs act(米国税制改正案) が可決され、大量の寄付金を受け持つ30のトップ大学は、寄付金に1.4%の税率が加わる。


流れは少し変わりつつある。








参考
(CNBC,2019)
(U.S.news,Universities With Big Endowments,2018)
(Tax Cut and Jobs act, 2017)